生まれて初めて胃カメラを飲んだ。
大阪時代は毎年10月~11月が健康診断だったのだが、東京は4月。半年前に受診して肝機能でよう注意を受けていたばかりである。日頃からお酒を飲むわけではないのに肝臓で引っかかったのは心外であった。
という経緯もあったので血液検査の値ばかりに気を取られていたのだが、思いのほか再検査の通知が届いたのだ。まさかの「前庭部伸展不良」要内視鏡検査。そういえば三年前も潰瘍痕で引っかかった。どうやら胃腸は弱いらしい。
先週の月曜日に再検査の通知が届き、「前庭部伸展不良」について一通り調べてみた。バリウム検査の結果、膨らみ具合などに違和感がある場合に再検査を行うものらしい。概ね異常がない場合が多いのだが、場合によっては潰瘍とかガンの発見もあるらしい。
不安である。大いに不安である。週末に熱を出したのもこのせいかもしれない。
僕は大人になってから体が弱くなった。二十歳過ぎに一度手術を受けているのだが、そこからは風邪もひきやすくなった気がする。社会人になって生活が不規則になったことや運動量が極端に減ったことに起因していることは間違いない。
閑話休題。
午前9時の予約より15分ほど早く着く。何といっても不安なのである。昨晩は絶食であり、今朝は朝から水すら飲んでいない。緊張もしているので胃が痛い。検査前に痛くなるのだからこれはちょうど良いのかもしれないが。。。
すぐに問診が始まる。
前回のバリウム検査の写真を見せられ、「膨らみ具合が悪い」と指摘された前庭部と呼ばれる部位を確認する。確かに形がおかしい。素人の目にも明らかだ。医師は少し気になったので胃カメラにしました、と説明してくれる。はい、ありがとうございます
胃カメラは苦しいと聞く。不安である。まず、水あめのような麻酔薬をたっぷり口に含む。三分間口になじませるように指示され、その後麻酔薬をすべての飲み込む。飲みこむ時分になって少し甘い味がしたことに気がつく。さらに霧吹きのようなもので口内に別の麻酔を注入。いよいよ先生の登場である。
カメラは思っていたよりも細いがやっぱり太い。指二本分くらい。鼻から息を吸って口から吐くように指示される。ゆっくりと喉の奥にセットされ、あるタイミングで飲み込む。ここが一番つらい。どんどんカメラが入っていく。体の中を異物が走っていくのが感じられる。とても気持ち悪い。ゆっくりと息をしていれば持ちこたえられるのだが、何かの拍子にオエッとなると呼吸すら苦しくなり、ものすごく苦しくなる。口から唾液がこぼれおちる。先生は巧みにカメラを操作し、僕の胃を観察している。空気が入り、胃が膨らんでいるのがわかった。人間だって所詮は有機体の塊なのだ。
検査自体はものの数分で終わった。予想していたより早く終了したので嬉しかった。カメラが抜かれ、口からは唾液が大量に流れる。しばらくそこで安静にし、体を起こす。すぐに結果が聞ける。
自分で言うのもなんだが僕の胃はきれいな色をしている。最初に感じたのはそれだった。前庭部も確認したが荒れてもなく、潰瘍もない。一安心である。空気を入れた際にもちゃんと膨らんだようで「異状なし」と診断される。
ついでにピロリ菌検査もお願いしたのだが、この結果は後日郵送となる。
とりあえず健康が確認されただけで大満足だ。空の青さをようやく気持ちよく感じる。
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