ウェブ時代の意味を描いた『ウェブ進化論』と対になった「その時代に生まれる新しい生き方の可能性」をテーマとした本を、いま時をおかずに書かなければと思ったのだ
↑あとがきのなかで明記されているように、
本書の位置づけは『ウェブ進化論』の完結篇である。
ウェブによるチープ革命以後、どうすれば自分のやりたいことを第一に考えながら
自分らしい生き方をしていけるのかを「高速道路」と「けものみち」の理論で展開する。
「勝った者」とは「勝つまでやった者」を指し、
そのためには「対象を愛することのすさまじさ」が必要になる。
単純に好きだからでは弱く、それをやらずには生きていけないほどの徹底さが
Webによって整備された「知の高速道路」を突き進むことができる。
本書の中で「ウェブは自ら助くる者を助く」という章がある。
その中で、下記のように述べられている。
ウェブ進化の初期に現れた新しいタイプのリーダーたちに共通するのは、「自分が好きなこと」「自分に向いたこと」「自分がやりたいこと」を対象に「勤勉の継続」が自然にできる人たちであった。強いられて行う「勤勉の継続」とは決定的に違って、志向性自発性と能動性がすべての始まりだから、彼ら彼女らにとって、勤勉は苦しみではなく楽しみなのである。
これはすごく明快だ。仕事が好きだ、勉強が好きだ、といえば
なんだかいけすかない気もするが
「自分のやっていることが好きだ」と言うと、俄然その人の生き方そのものが輝いて見える。
例えば、僕は決められた「やらなければならない仕事」に面白さを感じることができない。
しかし、そこには責任が発生するから自分なりに努力して責務を行なうのだが
楽しさは少なく、発展的とも建設的ともいえない無難な仕事が完成することになる。
それをあるとき、自覚した。
このままこんなことを続けていては人間とした退屈になる。
自分が好きなことにできるだけ忠実に生きていこうと決心した。
自分が好きなことを時間をかけて検証した。
それをお金にかえるためにはどういった仕事が適切かも考え抜いた。
その結果がWebを軸に置いたコミュニケーションデザインを考えるいう
今の仕事だと思っている。
いわゆるナナロク世代(ゴールデンエイジ)と呼ばれる年代に位置する僕は
旧来の企業の考え方も理解することができるし、
新しいインターネットの可能性にも自分の能力を活かす事ができると自負している。
本書の中でも述べられているように、今は時代の変革期であり恵まれた時期なのだ。
今を充実させなくては10年後、20年後に自分のあり方を見失ってしまう不安さえある。
よく、「仕事が好きですね」と言われることがあるが、それは正確には間違っている。
僕はただ、自分がやりたいこととできることについて「勤勉の継続」を行なっているに過ぎず、
それを評価してくれる方や企業がいるおかげで、たまたま成果につながっているのだ。
本書におけるテーマの中心は
「社会変化とは否応もなく巨大であるゆえ、変化は不可避との前提で、個はいかにサバイバルすべきか
という点に尽きる。
まだまだやりたいことや知りたいことはたくさんあるし、会社に翻弄されるつもりもない。
そんな秘めた野心をもった若い世代に勇気を与える一冊である。
でも、サバイバルするためには実力をつけなければならないので
自分が一人でも通用するかの見極めが重要であることも間違いない。
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