初回の感想で「微妙」と評したが、結局最後まで観た。
人を信じ抜くという井沢の持ち味が活きていた。また、これまで苦汁を嘗めてきた体験を同様に仕返すという展開。これもまたハラハラさせられ、かつ井沢の心臓の強さとも言うべきタフさに圧巻された。王の黒幕が何者であるかといった根本的な謎は残り、このまま永住を決め込む井沢の身に何一つ安心できるものなどないような気もするのだが、物語の流れとしてまぁいい。
全5回なので展開は早かった。また、騙し騙されの連続なので本当にこんな社会があるのだとすれば真面目に生きていくということが馬鹿らしいと感じるかもしれない。和田の本性が早いうちから予感できてしまったのも残念。物語としてはさほど特筆すべきものではないかもしれないが、ドラマとしてきちんと成立している点が評価できると感じる。
個人的に気に入ったのは池田成志演ずるアリ。
最終回で井沢と街を歩きながら会話する姿がとても印象深い。アリは井沢の感じたとおり体制のあり方に疑問を感じてはいる。しかし、体制の中で生きている以上、そこには立ち向かうことは何の利益にもならないという諦観があった。異端児の素質を持ちながら本質を隠し、組織のなかで生きる男。「踊る~」の室井警視にも通ずるものがある(組織の中での生き方という点で)。
アリは井沢と契約し、警察署長の座を手にする。彼が本領発揮できるかどうかもまたこれからなのだ。
全5回だから観続けられた、という気がしないでもない。これが『パンドラ』と同じくらいの回数であれば途中で止めた可能性は高い。
全5回だから成立したドラマ。全5回だからクオリティを発揮できたドラマ。スタッフの勝利だ。
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