サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける/箭内 道彦
箭内さんは好きな業界の人の一人。
自分が広告の仕事を楽しんでやろうと思えるのは箭内さんと野田凪さんの影響は強い。
仕事の憧れというか、スタイルとしてはTUGBOATやgroundのような
電通出身のクリエーティブエージェンシーが好みではある。
とかく、広告とかクリエイティブとかを仕事にしていると個性とかこだわりとかに縛られる。
それは周囲によってではなく、どちらかといえば自分自身に縛られる。
僕はデザインもできないし優れたコピーが書けるわけでもないので
根っからのクリエイターというわけではない。
だからと言うわけではないが、クリエイティブとかクリエイターとかいう言葉はとても嫌いだ。
しかしこの仕事で、業界で生きていくためには常に進化が必要になってくる。
そんな気負いを緩めてくれたのが箭内さんだった。
直接会ったことがあるわけではないので、正確には記事やインタビューで知る
箭内さんの考え方や生き方に肩の力が抜けた。
本書もそう。
きちんと読むと(最後に自分でも書いているが)矛盾が多い。
でもそれでいい。
一所懸命人に合わせていくこともOK。
自分のこだわりや主張を捨ててしまえば楽になるという点も納得。
それは楽をするとかいい加減にするという意味ではなくて
相手の力を上手く使ってもっと大きなことをしてみようということでもある。
でもそれがきちんとできるのは最悪の場合でも、全てのことを自分で責任を持つ
基礎体力や技術は必須である。勘違いしてはいけないのだ。
まだまだ修行すべき若者が読むと妙な達観意識を持ってしまうかもしれない。
ある程度経験を積んできた人が、ちょっと立ち止まりたいときに読んでみれば
いくつかは自分のことととして受け入れられる提言があると感じる。
もちろんそれは広告に関わっていない人でも同じ。
この本は決して同業者のためにかかれたものではない。
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