企業のマーケティングに関わる仕事している。
こう書くといかにも分析に長けたロジカル思考の持ち主みたいだが、
自分としてはクリエイターではなくマーケッターだと自負している。
たまたまクリエイティブ部門にいるが、デザインやコンテンツ企画よりも
資料やデータから読み解くことのほうが楽しいし、面白い。
僕の仕事の内、8割以上はWebに関わる仕事である。
Webが一般社会に登場してから10年強、驚くべきスピードで技術は進歩した。
しかしそれを扱う側は技術に翻弄されている側面がまだまだ強い。
その最たるものが企業のWebに関わる担当者とWeb制作の専門家である。
広告会社という立場上、Webに関わるほぼすべての仕事において両者と接触する。
企業はここ数年で自社のWebサイトの意味合いを真剣に問いだした。
特にBtoBと呼ばれる企業は急速に自社のブランド化やWebサイトの活性化に力を入れ始めた。
主な理由はいくつかある。
まずはリクルート対策。
2005年あたりからWeb業界ではリクルートバブルが生まれ始めた。
いわゆる2007年問題を機にこれまで採用を控えてきた企業が雇用に乗り出したからである。
就職活動はリクナビから始まるとさえいわれる現代、
企業のありかたを示すWebサイトはユーザーに読んでもらえる情報が必須である。
次にIR、社会貢献活動。
これもWebの普及に伴うものであるが、一般の株取引が浸透したおかげで
家庭の主婦が気軽に企業情報を確認するようになった。
今までは「知っている人にだけ伝わればいい」製品情報や企業活動は
上場企業ほど一般の目にさらされることになった。
企業は自社のサイトがどんな人に見られているか、
またどんな人にきてもらいたいかを考慮した上でコンテンツを検討する必要がある。
ここで間違ってはいけないのが「情報」の重要度である。
ログ解析などの現状調査により、求められる情報の強さがはっきりする。
特にBtoB企業においては製品情報以上に企業情報が求められる傾向がある。
会社概要、企業理念、沿革、連絡先、などといった企業情報は
制作時にそれほど重要視されない傾向がある。
しかし、多くのユーザーは企業名やブランド名から検索してサイトを訪れる。
必ず閲覧される企業情報の見せ方を誤れば本当に読ませたいページへの遷移も弱くなる。
ここではWevサイトの存在を中心に話を展開しているが、
そもそもその企業にとってWebサイトの位置づけがどこにあるかも考えなければならない。
新聞やTVなどのマス媒体を活用できる企業はほんの一握りである。
Webサイトははるかに安いコストでそれらに匹敵する情報とブランディングを作り出すことも可能である。
翻ってマーケティングである。
僕は企業活動の中でWebサイトを活用することで解決できる問題があった場合、
解決策に導くためのご提案をさせていただく。
それは例えばサイトのリニューアルであったり、Web広告への出稿であったり
SEOであったりと手法は異なる。
どの案件にも通じていることは誰が見に来ているのか、誰に読ませたいのか、という
双方の視点をバランスよく取り込むことに注力している。
客観的な第三者視点はマーケティングを行うものの財産である。
顧客視点とはここ数年業界でよくいわれる台詞であるが、
それはクライアント視点とユーザー視点の双方でなければならない。
どちらかに偏ってしまった場合、バランスは崩れサイトの位置づけも大きく変容する。
成果が出ないWebサイトリニューアルが多いといわれる所以である。
結局のところ、Webサイトだけですべてを解決させることはできない。
かっこ良くいえばクロスメディアかもしれないが
そこに至るまでの道程とそこから促す行動をどう設計するか(できるか)が
自分に課せられた課題であり、求められている仕事だと考えている。
そこに齟齬が生まれているという話を次回にしたい。
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