巷に溢れる画期的なアイディアの発想法の類は、
結局のところ古くからの先人の経験によって証明がなされているといって良い。
1986初版の本書は独特の語り口調で面白く、かつ「~でなければならない」と
凝り固まった頭をほぐすための一冊としてはよい。
現代の成功者が口をそろえて効果を述べる早起き(僕も引き続き実践中)についても
なるほどと合点がいく説明がなされている。
(朝飯前とは)簡単なことだから朝飯前なのではなく、朝の食の前にするために、本来は、決して簡単でもなんでもないことが、さっさとできてしまいいかにも簡単そうに見える。知らない人間が、それを朝飯前と呼んだというのではあるまいか。どんなことでも、朝飯前にすれば、さっさと片付く。朝の頭はそれだけ能率がいい。
確かに明け方の作業効率はとてもいい。
静かだし、電話は鳴らないし、長く集中することができる。
例外なく僕も明け方は前日寝るまで考えていたことを
言語化する作業がその大半を占める。
そもそも考える時間というものがあったところで
その時間に考えて良い解決策が生まれるわけでもない。
自分の引き出しを信じて、頭の隅っこに追いやることも
僕はよくするのだが、それも間違ってはいないらしい。
本書P39からの引用によると、
考え出して、すぐに答えの出るようなものは、たいした問題ではないのである。
本当の大問題は、長い間、心の中であたためておかないと形をなさない。
三上(馬上、枕上、厠上)と三中(無我夢中、散歩中、入浴中)や
しゃべる、垣根を越える、などエッセイ風に語られながらも
誠に的を射た指摘であり、なるほどと納得もできる。
自分も含め、ちょっとした努力や習慣で効果が上がりそうなのに
できていないものごとが、いかに多いか(無駄が多いか)を痛感する。
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