第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、一気に28万部突破のベストセラー入りを果たした大人気メディカル・エンターテインメント。東城大学医学部付属病院の有能な心臓手術チームに起こった、連続術中死の謎を追う医療ミステリー。リアルな医療現場の描写は、現役医師である著者にしか描くことができません。新作を次々に発表し、人気作家としての地位を確立しつつある著者・海堂尊の原点が、このデビュー作に詰まっています。
評価:★★★★★
理系の方が描く小説は抜群に面白い。それを再確認できた一冊。
医療事故の調査を命じられた門外漢の内科医田口の視点から物語は始まる。
鮮やかなまでの情熱を持つ桐生とチームバチスタ。
難解な専門用語はあまり気にならず、テンポのよいストーリー展開に
ぐいぐいと引き込まれていく。小説としてちゃんと面白い。
大学病院が孕む多くの問題点を示唆しながらも
その中で自分の居場所を見つけて生きていく田口に与えられた試練。
下巻への期待が大いに膨らむので上下セットでの購入をお勧めする。
ちなみに上巻でもっとも印象に残ったのが回想シーンでの高階教授の言葉である。
「ルールは破られるためにあるのです。そしてルールを破ることをことが許されるのは
未来に対して、よりよい状態をお返しできるという確信を、個人の責任で引き受けるときなのです」
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