インターネットの普及、情報洪水、市場の成熟などによって、消費者はガラリと変わってしまいました。マスメディアへの接触が減り、広告をスルーし、しかも信じません。ブログを含め、友人からのクチコミの方がずっと信頼されるこのご時世、どうやって「効く」広告を仕掛ければいいでしょうか。
本書は、さまざまな広告賞を受賞している現役クリエイティブ・ディレクターである著者に、消費者に届く「コミュニケーション・デザイン」について、実例を用いて具体的に解説していただいています。
広告やマーケティング関係だけでなく、メーカーなどで実際にモノ作りをしている方にも、ぜひ読んで頂きたい一冊です。
佐藤尚之さんは尊敬するクリエーターの一人です。
過去にもこのブログで書いたことがあるのですが、
佐藤さんの体験や言葉は僕に勇気をくれます。
広告の本を書かせていただくことになろうとは思わなかった。たぶんもう二度とないと思ってかなり内容を詰め込んだつもりだが、書き終わってみるとあれも言ってない、これも書き足りてないと後悔することばかりである。
と、あとがきで書いておられますが、
引き込まれる文体ですんなり受け入れることができました。
自分自身がコミュニケーション・デザインの実現に向けて活動していることもあり、
これからの一年後、三年後、五年後に何を考えていくべきかを
改めて考えるきっかけになります。
ネットバブルが弾けたものの、Webは社会生活の重要な位置を占めています。
ほんの少し前までは「Webを中心に展開」という提案内容が受け入れられてきました。
現在の潮流かつ、効果も測りやすいというメリットが大きかったからです。
個人的にはWeb礼賛(とまではいかなくても、Webを玉手箱のような扱いをしていた)の
傾向に違和感がありました。
Webの仕事が僕の仕事を大半を占める中で、
方法と目的が入れ違った気がしてきたのです。
ここで誰にでもなく宣言しておきたいのですが、僕はWebディレクターではありません。
Webディレクションが得意なプランナーであり、ディレクターであると思っています。
専門性に特化したような○○ディレクターや××プランナーという呼び名に抵抗があり、
ずっと、自分の方向性ややっている仕事に適した職種名を探しています。
コミュニケーション・デザイナーという職種が認められるとするならば、
僕が目指すべきところはまさにそれなのです。
そしてその道を作ってくれているのが佐藤尚之さんなのです。
本書の中で提言されている「ネオお茶の間」というシーンはまさに言い得て妙です。
マス広告は一時期ほどの力ではないにせよ、まだまだ強大なのです。
Webの発展はテレビも新聞も失くしません。むしろ、よりよい形で共存されていくでしょう。
媒体だけでなく、生活の中にあるコンタクトポイントを創造し、
うるさい広告ではなく、楽しくためになる広告を制作していくこと。
コミュニケーション・デザイナーを目指す僕の当面の課題であります。
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