久々にミュージカルを観た。劇団四季の『ウェストサイド物語』である。
尊敬する芸術家の一人であるバーンスタインの音楽があまりにも有名。
大学二年の時に授業で初めて映画を観て素直に感動した。
京都劇場に作品が来たので行こうと決めていて、ようやく行動に移せたのだ。
事前に四季のWebサイトで座席予約をしておいた。
京都劇場は以前に『オペラ座の怪人』を観たことがある。
その時は四季の会に入っている先輩に券をお願いした。
舞台の全景が望める二階席の方が安くて良いと教えられていたので、
今回も同じように、二階A席(5,000円)を予約。
18時の開場ピッタリに到着。
夏休みのせいか家族連れが多い。内容も比較的わかりやすいし
ミュージカルや舞台を初めて観る人にはよいかもしれない。
毎回感じるのだが席が狭い。
最近のシネコンがかなりゆったりめの作りになっていることを考えても
長時間の観劇に耐えうる座席ではないと感じる。
さて、ほぼ定刻に照明が落ちる。
舞台や映画が始まる直前の暗闇がとても好きだ。
物語の世界に感情移入するための小さな儀式でもある。
耳を澄まし、ゆっくりと目を閉じて暗闇の中で開いていく。
音楽と共に鼓動も高まっていく。
思わず声が出そうになりそうなほど緊張感を感じる。
そして幕は開く。
「ジェット・ソング」から始まるこの舞台は多くの社会問題を孕ませている。
アメリカという自由がいかに不自由であるか、
いかに差別と争いが絶えないか、
そして変えられるはずの世界はどうしようもない力によってねじ伏せられる。
ロミオとジュリエットを題材にしているウェストサイド物語は
ストーリーのテンポも非常によく、飽きることなくシーンが展開していく。
そしてマリアとトニーによる名曲『Tonight』のバルコニーシーン。
久しぶりに鳥肌が立った。芸術に触れた瞬間だった。
十数年前、原語でコーラスの練習をしたことを思い出す。
(それは授業のカリキュラムの一部だったがとても素晴らしい経験だった)
このシーンだけでこの舞台の値打ちの半分はあると思う。
更に特筆すべきは「America」のコーラス。
テンポよく刻まれるビートと歌声、ダンス、秀逸である。
ステージの山場は前半でほぼ終わってしまう。
休憩後の後半はすこし中だるみを感じてしまうのがもったいない。
ウェストサイド物語は悲劇のどん底で幕を閉じる。
誰も救われず、希望ある未来も残されない。
このやるせなさがまさにアメリカなのかもしれない。
休憩を含め約3時間。夢中で過ぎた時間だった。
帰宅後、書庫から昔買ったサントラCDと楽譜を引っ張り出す。
英語でいくつかの名曲を口ずさんでみる。
とても幸せな気分を覚えた。
千秋楽まであと一ヶ月。もう一度くらい観に行ってみよう。
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ウエスト・サイド物語(サントラCD)
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